そのときわたしは、もしかしたら、ひとつひとつの記憶は
ちゃんと保っているのではないか。それでいながら
その思い出が、自分の人生全体のどこに、どういうかたちで
位置しているのか、それを固定する地図のようなものを
失ってしまうのではないか。いろいろな記憶が、
モザイクのようになって、ちょうど夢をみるようなかたちで、
脈絡なく脳内に散らかっているのではないか。
バラバラの記憶を本人なりにつじつまを合わせようとして、
理屈の通らないことを言ったりとか。
まぁ認知症の場合、
記憶障害以外にもいろんな問題や症状があるので、
家族の悩みも深いんだけどね。
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